災害弔慰金法
災害弔慰金法は1973年に制定された法律であり、台風、地震、豪雪などの自然災害によって死亡した人の遺族に対する弔慰金の支給、災害により重度の障害を負った人への災害障害見舞金の支給、さらに住居などに被害を受けた世帯への災害援護資金の貸付について定めている。いずれも、災害による生活基盤の喪失や損失を補うことを目的とした制度であり、弔慰金や見舞金は現金で支給される。制度の実施主体は市区町村である。
1 災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給
災害弔慰金および災害障害見舞金は、一定規模以上の災害が発生し、所定の要件を満たした場合に支給される。費用負担は、国が2、都道府県が1、市町村が1の割合で分担する。
対象となる災害は、次のような規模を基準としている。
1市町村で住居が5世帯以上滅失した災害
都道府県内で住居が5世帯以上滅失した市町村が3以上ある災害
都道府県内で災害救助法が適用された市町村が1以上ある災害
災害救助法が適用された市町村を含む都道府県が2以上に及ぶ災害
災害弔慰金の対象となる遺族は、配偶者、子、父母、孫、祖父母である。また、災害によって重度の障害を負った場合には、災害障害見舞金が支給される。対象となる障害には、両眼失明、常時介護を要する状態、両上肢をひじ関節以上で切断した場合などが含まれる。
支給額は、被災者の世帯における役割(生計維持者かどうか)によって異なり、詳細は次の通りである。
このほか、貸付制度として災害援護資金が設けられている(表2参照)。
災害援護資金の概要
このほか、被災世帯の立て直しを支援する貸付制度として「災害援護資金」が設けられています。制度の主な概要は次の通りです。
- 貸付限度額: 最大 350万円
- 対象者: 負傷した方、または住居・家財に被害を受けた世帯
- 条件: 市町村が定める 所得制限 があります
- 実施主体: お住まいの 市区町村 が窓口となります
これらの制度は、被災直後の生活再建を資金面から支える基本的な仕組みとして位置付けられています。
2 災害弔慰金法の適用事例
2004年度には、新潟県中越地震のほか台風や豪雨などの災害が相次ぎ、11の災害に対して延べ22府県150市町村で災害救助法が適用された。
この際に支給・貸付が行われた件数は、次のとおりである。
災害弔慰金:208件
災害障害見舞金:1件
災害援護資金:1,287件
また、災害による直接の外傷だけでなく、地震の衝撃や長期の避難生活、車中泊などに伴う心筋梗塞などによる死亡が災害関連死として認定され、災害弔慰金の対象となった事例もある。東日本大震災においても、同法に基づく支給が行われている(表3参照)。
義援金・救援物資
義援金とは、大きな自然災害や事故の際に、被災者やその家族を支援するために寄せられる寄付金であり、原則として公的な受付機関を通じて募集と配分が行われる。
義援金や救援物資の取り扱いは、厚生労働省の防災業務計画や地方自治体の地域防災計画に基づいて運用されている。
主な仕組みは、次のとおりである。
義援金の受付は、日本赤十字社や共同募金会などが中心となって行い、配分方法は配分委員会が決定する。
被災した都道府県や市町村は、関係団体で構成される募集(配分)委員会を設置し、義援金総額や被害状況を踏まえて分配基準を定める。また、報道機関などの協力を得て、被災者への迅速な配分を進める。
厚生労働省社会・援護局は、義援金の募集や配分について助言などの支援を行う。なお、義援金には税制上の優遇措置が設けられており、税法の規定が適用される。
救援物資については、被災した都道府県や市町村が被災者の必要物資を把握し、その内容を報道機関などを通じて公表することで、受け入れの調整を行う。
まとめ
災害弔慰金法は、災害によって死亡した人の遺族や重度の障害を負った人を支援する制度であり、弔慰金や見舞金の支給、災害援護資金の貸付によって被災後の生活再建を支える仕組みである。また、義援金や救援物資は社会全体から寄せられる支援を被災者に届ける制度として運用されており、公的制度と民間の支援が組み合わさることで、災害後の生活支援が進められている。
※本ページは、防災・減災に関する基礎的な情報を、一般の方にも分かりやすく整理したものです。
災害時の判断や行動は、地域や状況によって異なるため、必ず公的機関からの最新情報を優先してください
※本ページは『防災士教本(2025年度版)』(日本防災士機構)を参考に再構成しています。
