地震・災害発生時の行動ガイド
地震発生時の時間割
被害の大きさや状況によって異なりますが、地震発生からおおよそ3日間までの流れを、目安としてまとめると次のようになります。
| 命を守る時間 | 地震発生 0分~2分 | 自分の身を守る |
地震の揺れを感じたら、まずは落下物から頭を守る行動を取ります。 室内では、テーブルの下にもぐるなどして身を守り、固定されていない家具からはできるだけ離れましょう。 また、調理中の場合は、無理に火を消そうとせず、まずは台所から離れて安全を確保することが大切です。 屋外にいる場合は、看板やガラスなどの落下物に注意し、かばんなどを使って頭を守りながら、安全な場所へ移動します。 |
| 二次被害を防ぐ時間 | 地震直後 2分~5分 | 火の始末 出口の確保 |
揺れが収まってきたら、周囲の安全を確認しながら、火の元の状況を確認します。 出火している場合でも、無理をせず、小さな火のうちであれば消火を考えることになります。 また、余震に備えて、ドアを開けるなどして出口を確保しておくことが有効とされています。 室内では、割れたガラスや破片によるけがを防ぐため、可能であれば靴を履いて行動するようにします。 |
| 地震直後 5分~10分 | わが家の安全確認 |
揺れが収まったら、まず家族や身近な人の安否を確認します。 次に、家屋の被害状況を点検し、余震などによって被害が広がるおそれがある場合は、いつでも避難できるよう準備を進めます。 また、断水に備えて、お風呂の浴槽に水をためておくことも有効です。 水道が使えるうちに確保しておくことで、生活用水として役立ちます。 沿岸部にいる場合は、津波の危険を想定し、ためらわずに高い場所へ避難してください。 その後は、ラジオなどを活用して、正確な情報を継続して確認することが大切です。 |
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| まちを守る時間 | 10分~半日 | ご近所の安否確認と助け合い |
揺れが落ち着いたら、ご近所の人の安全も気にかけましょう。 生き埋めやけがをしている人がいないか、火災が起きていないかを声を掛け合いながら確認します。 もし助けが必要な人がいれば、状況に応じて協力して救出や応急対応を考えます。 また、災害時の配慮が必要な人の安否を確認し、安全な場所への避難を手助けしましょう。 |
| 生活を守る時間 | 半日~3日 | 2~3日は自分でしのぐ | 地震の影響で、電気や水道などのライフラインが途絶えたり、物資の流通が遅れたりすることがあります。 そのため、発災後の3日間程度は、自宅にある飲料水や食料でしのぐことが目安とされています。 場合によっては、ご近所で食材を持ち寄り、炊き出しなどを行って協力し合うことも考えられます。 |
| 復旧・復興へ | 3日~ | 本格的な復旧開始 | 発災から数日が経つと、防災機関による応急や復旧活動が本格的に始まります。 また、被災地外からボランティアなどの支援が入り、住民やボランティア、行政が協力しながら、少しずつ復旧や復興への歩みを進めていきます。 |
外出先で地震に遭ったときの行動
ビルの中
もしエレベーターに乗っている時に地震の揺れを感じたら、全ての階のボタンを押して、最寄りの階で降りましょう。
新しい高層ビルは耐震性に優れた設計になっていることが多く、大きな危険性は少ないと考えられます。ただし、高層階では揺れが大きく長く続くことがあります。特にゆっくり長く続く揺れ(長周期地震動)を感じた場合、キャスター付きのコピー機などが動き回る可能性があり、注意が必要です。
安全を確保するためには、机の下にもぐるなどして揺れが収まるのを待つことが大切です。
地下街
地下街は地上に比べて揺れが小さく、比較的安全とされています。
揺れを感じたら、壁や太い柱に身を寄せ、かばんなどで頭を守りましょう。
このとき、頭の上にただ乗せるのではなく、頭とかばんの間に10cm程度の隙間を作ると、クッションの役割になり、落下物からの衝撃を和らげることができます。
揺れが収まったら、係員の指示に従って非難します。
停電になっても非常灯がつくことが多いので、落ち着いて非常口や階段に向かいましょう。
万が一火災が発生した場合は、煙の向かってくる方向と反対側の非常口に向かって避難してください。
公共交通機関などの乗り物の中
大地震が発生した際には、電車が急停車することがあります。
その場合は、つり革や手すりにしっかりとつかまりましょう。
また、駅員や乗務員の指示に従うことが大切です。
指示がない場合は、むやみに車外に出ることは避け、安全が確認されるまで車内で待つようにしましょう。
劇場・映画館
劇場や映画館の客席は柱が少なく広い空間になっているため、大地震の際には天井から落下物がある危険があります。
揺れを感じたら、カバンなどで頭を守り、座席の間など安全な場所に身を寄せて揺れが収まるまで待ちましょう。
また、多くの人がいる場所では、慌てて非常口に向かうと将棋倒しなどの二次災害が起こる可能性があります。
落ち着いて係員の指示に従い、安全な行動を心がけましょう。
自動車を運転中
震を感じたら、急ブレーキをかけず、徐々にスピードを落としましょう。
交差点は避け、道路の左側に寄せて停車します。駐車場や空き地があれば、安全な場所に移動する。
停車後は、カーラジオで地震情報を確認し、必要に応じて避難の準備をします。
避難する場合は、火災を引き込まないよう窓を閉め、エンジンキーはつけたままにしてドアロックはせず、貴重品を持って安全を優先して行動しましょう。
街の中
繁華街やビル街で地震に遭遇した場合は、落下物から身を守ることが最優先です。
ガラスは建物の高さの半分ほどの距離まで飛ぶことがあるので、かばんなどで頭を守りながら、安全で広い場所へ避難しましょう。
新しいビルは耐震性が高く、落下物の危険がある場合はビル内に避難することも可能です。
ただし、老朽化した古いビルは崩れる恐れがあるため、避難は避けた方が安全です。
また、ブロック塀や自動販売機、電柱など、地震で傾いたり倒れやすいものには近づかないようにしましょう。
垂れ下がった電線なども危険なので、そばに寄らないことが大切です。
デパートやスーパーマーケット
地震が発生したら、商品棚からの落下物や、陳列棚、大型商品の店頭に注意しましょう。
スーパーマーケットでは、買い物かごなどを使って頭を守り、安全な場所で揺れが収まるのを待つことが大切です。
高層マンション
大地震が起こると、高層マンションではエレベーターが使えなくなることがあります。
高層階に住んでいる人は、数日間自力で生活できるように、水や食料、簡易トイレ、家族との連絡手段などをあらかじめ準備しておくことが大切です。
大地震後も引き続き地震に警戒する
地震の第一撃をしのいだとしても、油断はできません。最初の地震よりも強い地震や、同じくらいの規模の地震が後から起こる可能性があるからです。
たとえば、2016年の熊本地震では、最初の地震がマグニチュード6.5でしたが、28時間後にマグニチュード7.3の地震が発生しました。最初の地震は「前震」と判明しています。
同じような現象は、2003年の宮城県北部連続地震でも起きています。最初にマグニチュード5.6(最大震度6弱)の地震があり、その7時間後にマグニチュード6.8(最大震度7)の地震、さらに1時間以内に最大震度6強の余震が2度発生しました。
このような経験から、大規模地震の直後には最初の地震よりも規模が大きい地震や同規模の地震に警戒することが必須です。
最初の地震で建物にダメージがある場合、次の揺れで倒壊することも考えられます。
そのため、安全な場所にとどまる、あるいはより安全な場所に避難することを心がけましょう。