土砂災害のしくみと前兆現象
土石流
土石流とは、大雨などによって大量の土砂や石、流木が水と一体となって、一気に流れ下る現象です。普通の川の流れとは違い、岩や大きな石を巻き込みながら、非常に速いスピードで移動します。
土石流の先頭には、大きな石や岩が集まり、盛り上がるようにして流れ下ることが多く、その後ろに土砂と水が続きます。このため、衝撃力が非常に大きく、家屋や橋を一瞬で破壊してしまう危険があります。
流れる速さは時速20〜40kmにもなり、人が逃げるのはほぼ不可能です。山間部の渓流や谷筋で発生しやすく、上流で起きた場合でも、短時間で下流まで到達するため、早めの避難が重要になります。
がけ崩れ
概要
がけ崩れは、傾斜が急な斜面が突然崩れ落ちる現象である。
一般に、傾斜30度以上の斜面で発生しやすく、崩れる土砂の量は比較的少ないものの、移動速度が非常に速いという特徴がある。
発生のしかた
がけ崩れは、前触れがほとんどなく突発的に発生する。
崩れた土塊は高速で移動し、落下や跳ねる動きを伴うため、人や建物が逃げる時間はほとんどない。また、移動中に土塊が激しくかき乱される点も特徴である。
規模と到達範囲
がけ崩れの規模は比較的小さく、平均的な崩壊の幅は約17m、高さは約15m、深さは1~2m程度とされている。
崩壊した土砂の多くは、斜面の高さのおよそ2倍以内の範囲に到達し、約97%がその範囲に収まるとされるが、条件によっては最大で50m程度まで到達することもある。
法律上の位置づけ
法律では、傾斜30度以上の土地が崩壊する自然現象を「がけ崩れ」と定義している。
地すべり
概要
地すべりは、比較的ゆるやかな斜面(おおむね30度以下)で、地面の一部がゆっくりと滑り動く現象である。
地すべりには、地下にすべり面と呼ばれる弱い層が存在し、その上にある土塊がまとまった形で移動する点が特徴である。一般に、移動速度は遅く、がけ崩れのように一気に崩れ落ちることは少ない。
発生のしかた
地すべりは、地表や建物に亀裂が入るなど、前兆が現れることが多い。
移動速度は通常、1日に0.01~10mm程度と非常に遅く、長期間にわたって少しずつ動き続ける場合がある。
ただし、初めて発生する初生地すべりでは、比較的速く移動することがあり、状況によっては一部が流動化して土石流に変化することもある。
また、地すべりは土塊が原形を保ったまま動くことが多く、活動が一度収まったあとに再び動き出す「復活地すべり」が起こることもある。
規模と到達範囲
地すべりは、がけ崩れに比べて規模が大きいのが特徴である。
平均的には、地すべりの幅は200~270m、長さは330~360m、すべり層の厚さは約18mとされている。
移動する土砂の量も多く、100万立方メートル規模に達することがあり、広い範囲に被害を及ぼすおそれがある。
法律上の位置づけ
法律では、土地の一部が地下水などの影響によって滑る自然現象、またはそれに伴って移動する現象を地すべりと定義している。
土砂災害の前兆現象
土砂災害は、突然起こるように見えても、**発生前にさまざまな異変(前兆現象)**が現れることがあります。
次のようなサインに気づいたら、早めの避難を考えることが大切です。
土石流の前兆現象
山や川の様子に、次のような変化が現れることがあります。
- 普段は聞かないような大きな音や異様な音がする
(山鳴り、石がぶつかる音など) - 土や腐った木の葉のような、いつもと違うにおいがする
- 川の水が急に濁り、流木が混ざって流れてくる
- 雨が降り続いているのに、川の水位が下がる
- 夜間などに火花のようなものが見えることがある
がけ崩れの前兆現象
斜面の近くでは、次のような変化に注意が必要です。
- 斜面に割れ目が見える
- 斜面から水が湧き出るようになる
- 湧き出ていた水が急に濁る
- 小石がパラパラと落ちてくる
- 樹木の根が切れるような音が聞こえる
地すべりの前兆現象
地すべりは、ゆっくり進行する場合も多く、次のような異変が見られます。
- 斜面に割れ目ができる
- 斜面から水が湧き出るようになる
- 沢や井戸の水が濁る
- 家屋や道路に亀裂が入る
- 樹木や電柱が傾く
- 土煙が上がる、山が動くように見える、樹木がざわざわ揺れる
※本ページは、防災・減災に関する基礎的な情報を、一般の方にも分かりやすく整理したものです。
災害時の判断や行動は、地域や状況によって異なるため、必ず公的機関からの最新情報を優先してください