防災士の役割。地域を支えるリーダーの活動

防災士に期待される役割

地域・社会の防災リーダーとして自ら行動する

防災士には、日頃から防災についての意識を持ち、一定の知識と技能を備えた地域の防災リーダーとして活動することが期待されている。

そのため、防災士は自治体などからの呼びかけを待って行動するだけではなく、自分の家庭や職場、地域において何ができるのか、何をすべきかを主体的に考え、行動することが重要である。まずは、自宅の防災対策から取り組むことが第一歩となる。

地域で活動する際には、単に「協力する」「手伝う」という姿勢にとどまらず、「自分が地域の防災力を担う」という意識を持って、積極的に関わることが望まれる。


ネットワークのつなぎ役

🤝 防災士が果たす「ハブ(結節点)」の役割
行政・公的機関
防災士
住民・企業・NPO

孤立した活動ではなく、情報のパイプ役となることで
地域全体のレジリエンス(回復力)が向上します。

阪神・淡路大震災以降、防災に関するさまざまな活動が全国で行われるようになった。地域の防災力を高めるためには、住民、自主防災組織、ボランティア、公的機関などが情報を共有し、互いに補いながら活動することが重要である。

防災士は、個人として活動するだけではなく、防災に関わるさまざまな人や団体をつなぐ存在としての役割も期待されている。そのためには、日頃から地域の人々や防災関係者との「顔の見える関係」を築いておくことが大切である。


組織的活動の重要性

防災士がいかに優れた知識や技能を持っていても、個人の活動だけでは対応できる範囲には限界がある。

近年では、行政が企業や団体と災害協定を結び、大規模災害に備える取り組みが増えている。防災士も、行政や防災関連団体と連携するためには、個人ではなく、組織やネットワークとして活動することが望ましい。

例えば、全国組織である「日本防災士会」には都道府県ごとに支部があり、多くの防災士が活動している。また、自治体と協働した防災士協議会の設立や、防災士同士の広域連携など、さまざまな形での活動が広がっている。

地域や職場の枠を越えた連携や、遠隔地との相互支援などの取り組みも、防災活動の重要な要素となっている。


地域ネットワークに参加している日本防災士会埼玉県支部の事例

日本防災士会埼玉県支部は、平常時および災害時に地域の団体と連携して活動するため、「彩の国会議(埼玉県災害ボランティアネットワーク)」の幹事団体として登録・加盟している。

彩の国会議は、埼玉県および埼玉県社会福祉協議会などと連携し、首都圏での災害を含むさまざまな災害時に、県内の災害支援団体の活動を調整することを目的として、2018年に発足した組織である。

平常時には、団体間の学び合いや情報共有を通じて、顔の見える関係づくりを進めている。災害時には、県の災害対策本部や社会福祉協議会の災害ボランティアセンターと情報を共有しながら、連携して活動する仕組みとなっている。


3(4)専門性を生かした活動:30万人の「知恵」を社会の財産に

2024年11月末時点で、防災士は30万人を突破しました。その中には、現職の公務員から民間企業の技術者まで、多種多様なプロフェッショナルが含まれています。

■ 行政・公務員の「継続性」を支える

自治体組織において、防災士の資格を持つことは大きな意味を持ちます。

  • 異動の壁を越える知識: 自治体職員は数年で異動することが一般的ですが、どの部署にいても防災士としての知識を持つことで、災害発生時に「全職員が防災担当」として即座に機能できます。
  • OBの知恵を地域へ: 警察・消防・自治体OBが防災士として活動することは、長年培った実務経験を地域社会へ還元する「社会の財産」となります。
⚙️ 「本業のスキル」が最強の防災力になる
🏗️
建設・土木

重機操作・インフラ復旧

🩺
医療・介護

避難所での健康管理

🚛
物流・運送

支援物資の効率的配送

🏢
施設管理

帰宅困難者対応・誘導

あなたの「専門技術」を防災の視点で再定義しましょう。

■ 民間企業・特定分野での活躍

防災士は、職務中だけでなく、それぞれの専門分野を活かした「高度な支援」が期待されています。

  • インフラ・ライフライン: 医療、電気、ガス、水道、通信、物流などの担当者が防災士となることで、事業継続(BCP)の精度が向上します。
  • 教育・商業施設: 学校や大型商業施設のスタッフが、利用者の安全を守るリーダーとして機能します。
  • 技術支援の例:
    • 建設業 × 防災士: 重機を用いたがれき撤去や道路の応急復旧。
    • 警察OB × 防災士: 防犯パトロールや消防団との高度な連携活動。

防災士の具体的な活動例

防災士に期待される主な活動の例を、次の表に示す。

📋 防災士に期待される活動(事例一覧)
【平常時】備えと普及
  • 自己防衛:耐震補強、家具固定、備蓄の実施
  • 地域貢献:自主防災組織・消防団への参加、AED講習の実施
  • 計画・啓発:地区防災計画の作成推進、メディアを通じた普及活動
【発災時】応急対応(公助が来るまで)
  • 命を守る:自身の安全確保後、率先避難者として周囲を誘導
  • 救急救助:初期消火、救出活動、応急手当の実施
  • 連携:正確な情報収集と伝達、避難所の開設・運営支援
【復旧・復興時】被災者支援
  • 安否・支援:地域住民の安否確認、要配慮者のサポート
  • ボランティア:救援物資の配布、がれき撤去、運営支援
  • 継続支援:長期的な被災地入りによる復興サポート

防災士の活動と社会的評価

🌟 認められる「防災士」の専門性
【公的評価】自治体のアドバイザーへ

各自治体で「指導員」や「委員」として委嘱される制度が急増中。

【組織力】広域ネットワークでの活動

大学や支部単位での組織的な支援が、被災地の復興を支える力に。

【信頼性】地区防災計画のキーマン

法律に基づく計画づくりにおいて、住民と行政をつなぐ専門家として期待。

防災士の活動は個人の枠を超え、公的な役割や組織的な活動へと広がっています。

講師・指導員としての多彩な活躍

地域や職場において、防災士は「教えるプロ」として高く評価されています。

  • 主な活動内容: 防災講演、家具固定の普及、自治体訓練の指導、メディア出演、被災地支援。
  • 広がる依頼元: 自治体、自主防災組織、学校、社会福祉施設など。

行政が認める「公的な役割」

多くの自治体が、防災士の専門性を公式に認める制度を導入しています。

  • 静岡県: 地域防災計画に「防災士の活用」を明記
  • 兵庫県: 「ひょうご防災特別推進員」として講師資格に位置づけ
  • 宮城県: 「防災指導員」
  • 愛媛県: 「えひめ防災インストラクター」
  • さいたま市: 「防災アドバイザー」
  • 松山市: 防災士がいる企業を「防災協力事業所」に認定

「地区防災計画」の策定パートナー

2013年の災害対策基本法改正により、住民主体の「地区防災計画」制度がスタートしました。内閣府のガイドラインでも、防災士会などの専門団体との連携が有効であると推奨されており、計画づくりのアドバイザーとしての役割が期待されています。

全国に広がる防災士団体の活動

個人ではなく「組織」として動くことで、より大きな社会的インパクトを与えています。

団体・地域主な活動実績・特徴
新潟県上越市防災士会10年以上の実績。市内各地域での訓練指導。
埼玉県上尾市防災士協議会「イツモ防災」講座を市民5,000人以上へ実施目標。
東北福祉大学約7,000人の防災士を養成。仙台市と連携した啓発。
熊本大学「熊助組」学生防災士による長期的な被災地復興支援。
日本防災士会 新潟県支部豪雨災害時にボランティアセンター運営を支援(感謝状授与)。

地域防災力を高める「信頼のネットワーク」

全国各地で活動する防災士のネットワークは、行政の手が届かない部分を補完する「大きな力」となっています。現代の地域防災において、防災士は欠かせない存在としてその評価を確立しています。

まとめ

防災士は、地域や社会の防災力を高めるために重要な役割を担う存在である。
自ら行動する防災リーダーとして活動するとともに、人と人、組織と組織をつなぐ役割を果たすことが求められている。

また、個人の活動だけでなく、組織やネットワークとして連携することで、より大きな防災力を発揮することができる。さらに、それぞれの専門性を生かした活動や地域での防災啓発、災害時の支援など、多くの場面で防災士の活躍が期待されている。

全国各地で広がる防災士の活動は、地域防災力の向上に大きく貢献しており、その社会的役割と期待は今後ますます高まっていくと考えられる。

※本ページは、防災・減災に関する基礎的な情報を、一般の方にも分かりやすく整理したものです。
災害時の判断や行動は、地域や状況によって異なるため、必ず公的機関からの最新情報を優先してください

※本ページは『防災士教本(2025年度版)』(日本防災士機構)を参考に再構成しています。

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