地震発生時の対応。場所別の身の守り方と生存行動

2 地震・災害時の対応

1 地震時の対応

(1)地震の時間割

地震発生直後から数日間は、被害の把握や救助活動、生活支援などの対応が段階的に進んでいく。被害状況にもよるが、発生から3日目までのおおよその状況の流れは、次の表のとおりである。

🕒 地震発生から3日間のタイムライン
直後〜数分
身の安全を確保: 机の下へ。揺れが収まったら火の始末と出口確保。
数時間〜当日
安否確認と救助: 家族・近隣の安否確認。正確な情報の収集、津波避難。
〜3日目まで
自力での生存: 備蓄品での生活。余震に警戒しつつ在宅避難または避難生活。
重要: 最初の72時間は救助活動が優先され、支援は届きにくいと心得ましょう。

(2)地震直後の留意点:命を守る行動の優先順位

大きな揺れに襲われた際、もっとも重要なのは「反射的な行動」を正しくコントロールすることです。

① グラッと来たら、まず「身の安全」

かつては「地震だ、火を消せ」と教えられてきましたが、現在は「まず身の安全」が鉄則です。

  • 火は自動で止まる: 現代のガスメーターは震度5弱以上の揺れで自動遮断されます。
  • 火傷のリスクを避ける: 揺れの中での消火活動は、熱湯や油による大怪我に繋がります。
  • 基本姿勢: 頑丈な机の下に潜り、脚をしっかり握って頭を守ります。

② 揺れがおさまったら「火の始末」と「出口確保」

大きな揺れが完全に収まったら、次のステップへ移ります。

  • 初期消火: 万が一火が出ていても、天井に火が届く前(2〜3分以内)なら消火器などで消し止められます。
  • 出口を確保: 建物が歪んでドアが開かなくなる前に、玄関ドアや窓を開けて脱出路を確保します。マンション等で玄関が塞がった場合は、バルコニーの避難ハッチを確認してください。

③ 家族・周囲の安否確認(三角通信の活用)

📢 地震その時:10の行動ポイント
1. まず身の安全
机の下などで頭を保護
2. 落ち着いて火の始末
揺れ後にコンロや元栓をオフ
3. あわてて外に飛び出さない
落下物(瓦・ガラス)が危険
4. 窓や戸を開けて出口確保
逃げ道の歪みを確認
5. 門や塀には近寄らない
ブロック塀等の倒壊に注意
6. 火が出たらすぐ消火
「火事だ!」と叫び協力
7. 正しい情報を確認
ラジオや自治体HPを信頼
8. 協力し合って救助・救護
まず隣近所の安否を確認
9. 避難の前に電気・ガス
ブレーカー落とし元栓閉め
10. 徒歩で避難、荷物は最小
車は緊急車両の妨げに

大きな声で呼びかけ合い、下敷きになっている人がいれば周囲と協力して救助します。

  • 連絡の工夫: 災害時は電話が繋がりません。171(災害用伝言ダイヤル)やSNSの文字通信を活用しましょう。
  • 三角通信: 被災地から離れた親戚などを「連絡の中継地点」に設定し、家族間の情報を集約する方法も非常に有効です。

④ 余震・津波への警戒と「避難」の準備

  • 津波警報を待たない: 海岸付近では揺れの大小に関わらず、即座に高台へ避難してください。
  • 避難のサイン: 家を離れる際は、玄関に「避難先・連絡先」を書いたメモを貼っておくと、安否確認がスムーズです(雨に強い油性マジックを推奨)。
  • 通電火災防止: 避難前に必ずブレーカーを落としてください【重要】避難の考え方 避難所へ行くことだけが避難ではありません。「危険な場所(壊れそうな自宅など)から離れる行動」そのものが立派な避難です。

(3)場所ごとの行動:その時、どう動くか?

地震が発生した場所によって、注意すべき危険(落下物、転倒、パニックなど)は異なります。状況に応じた「正しい身の守り方」を確認しましょう。

■ 建物内・施設での行動

  • ビルの中: 高層階は揺れが大きく、長く続きます。コピー機などの重量物が凶器となって動き回るため、机の下に潜りましょう。エレベーター内ではすべての階のボタンを押し、停止した階ですぐに降ります。
  • 地下街: 地上より比較的安全とされていますが、パニックによる将棋倒しが最も危険です。壁や太い柱の近くで頭を守り、揺れがおさまった後は係員の指示を待ってください。
  • 劇場・映画館: 天井が高いため落下物に注意が必要です。かばん等で頭を守り、座席の間で身を低くします。非常口に殺到せず、落ち着いて行動しましょう。
  • デパート・スーパーマーケット: 商品棚からの落下物や、陳列棚の転倒に警戒します。買い物かごを逆さにして被ることで、頭部を保護できます。
🛡️ 知っておきたい「頭を守る」技術
💡 衝撃を逃がす「10cmの隙間」

かばんで頭を守る際、頭に密着させず、**あえて10cmほどの隙間を作って**持ちます。これにより、落下物が当たった際のクッション効果(衝撃吸収)が高まり、頭部への直接ダメージを軽減できます。

スーパーでは
買い物かごを被る
ビル街では
建物の半分以上離れる

■ 街中・屋外での行動

  • ビル街・繁華街: 窓ガラスの破片や看板の落下が最大の脅威です。ガラスは「建物の高さの半分」ほどの距離まで飛散するため、できるだけ建物から離れるか、頑丈な建物内へ避難します。
  • 住宅街など: ブロック塀、自動販売機、電柱は倒壊の恐れがあります。また、垂れ下がった電線には絶対に触れないでください。

■ 乗り物・運転中の行動

  • 地下鉄・電車の中: 急停車による転倒を防ぐため、つり革や手すりにしっかりつかまります。独断で線路に降りるのは二次災害の恐れがあり、非常に危険です。乗務員の指示を待ちましょう。
  • 自動車を運転中: 急ブレーキを避け、左側に寄せて停車します。避難時は**「キーをつけたまま」「ドアロックをせず」**車を離れます(緊急時の車両移動を可能にするため)。

■ 高層マンションでの暮らし

大地震後はエレベーターが長時間停止し、高層階は「陸の孤島」となります。救助の手が届くのが遅れることを想定し、最低1週間分以上の水・食料・簡易トイレの備蓄を徹底しましょう。

(4)大地震後の強い地震への警戒

大地震の後には、さらに大きな地震や、同規模の地震が続くことがある。

2016年の熊本地震では、最初の地震(マグニチュード6.5)の28時間後に、さらに大きなマグニチュード7.3の地震が発生した。この最初の地震は、後に「前震」であったことが判明している。

同様の現象は、宮城県北部連続地震や新潟県中越地震でも起きている。

最初の地震で建物がダメージを受けている場合、次の地震で倒壊する危険がある。そのため、安全な場所にとどまるか、より安全な場所へ避難することを心がける必要がある。


3. 被災後の暮らしを守る:自立した避難生活

大規模災害では、ライフライン(電気・ガス・水道)が長期間停止し、外部からの支援が届くまでに最低3日間(推奨1週間)かかると想定されます。

また、避難所の過密状態による感染症リスクやプライバシーの問題を避けるため、安全が確保されている場合は自宅で生活を続ける「在宅避難」が推奨されています。そのためには、以下の4つの基盤が必要です。

  1. 住宅の安全: 耐震化と家具の転倒防止
  2. 水の確保: 飲料水と生活用水の備蓄
  3. 食の確保: カセットコンロと食料の備蓄
  4. 衛生の確保: 非常用トイレの準備
🏠 在宅避難を支える「4つの柱」
🏗️
住まいの安全

耐震・家具固定で
「壊れない家」に

🚾
トイレ対策

非常用トイレを
最低3日分確保

💧
飲用・生活水

1人3Lの飲料水と
風呂の残り湯

🍚
食事の備蓄

カセットコンロと
使い慣れた食料品

■ 1. ライフラインが止まった時の代替手段

インフラが途絶えた際、何を使って代用するかを具体的にイメージしておきましょう。

🔌 ライフライン停止時の代替手段
停止した機能 代替手段の例 事前の準備・工夫
電気 懐中電灯
ランタン
ヘッドライト
予備の電池やモバイルバッテリーを多めに用意。夜間の両手確保にはヘッドライトが有効です。
ガス カセットコンロ
カセットボンベ
ボンベは1人1日1/2本を目安に1週間分備蓄。古いものから使うローリングストックを実践。
水道 ペットボトルの水
風呂の残り湯
飲料水(1人1日3L)とは別に、トイレ等の生活用水として風呂の残り湯を常に溜めておく。
アドバイス: 「何が止まってもこれがある」という安心感が心の余裕に繋がります。

■ 2. 身近なもので作る「災害時の知恵」

専用の道具がなくても、家庭にあるもので生活を維持する工夫があります(公益財団法人市民防災研究所による紹介)。

① 手づくりランプ(電気の代替)

  • 材料: ガラスコップ(または空き瓶)、ティッシュペーパー、アルミホイル、食用油
  • メリット: ろうそくと違い、余震で倒れても油がこぼれるだけで火が広がりにくいのが特徴です。少量の油で数時間以上の点灯が可能です。

② 手づくり卓上コンロ(ガスの代替)

  • 材料: アルミ缶、サラダ油、アルミホイル、ティッシュペーパー
  • メリット: 40分ほどでご飯を炊くことができ、目玉焼きなどの簡単な調理も可能です。カセットボンベを使い切った際の最終手段として有効です。

⚠️ 安全上の注意

手づくりの道具を使用する際は、周囲に燃えやすいものを置かず、使用中は絶対にその場を離れないでください。

まとめ

地震が発生した直後は、まず自分の身の安全を確保し、揺れがおさまった後に火の始末や安否確認を行うことが重要である。状況に応じて出口の確保や避難の準備を進め、余震や津波にも注意しながら行動する必要がある。

また、災害時は場所によって危険の種類が異なるため、周囲の状況に応じた行動を取ることが求められる。

さらに、大規模災害ではライフラインが停止し、支援が届くまで一定期間は自力で生活を維持する必要がある。そのため、代替手段や生活の工夫を事前に考えておくことが、被災後の暮らしを守るうえで重要となる。

※本ページは、防災・減災に関する基礎的な情報を、一般の方にも分かりやすく整理したものです。
災害時の判断や行動は、地域や状況によって異なるため、必ず公的機関からの最新情報を優先してください

※本ページは『防災士教本(2025年度版)』(日本防災士機構)を参考に再構成しています。

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