災害時における固定電話
大きな災害が発生すると、停電によって自宅の電話やWi-Fiが使用できなくなる場合があります。また、地震や台風などによって通信設備そのものが被害を受けることもあります。
2025年12月に発生した青森県東方沖地震では、NTT青森八戸ビルの鉄塔が一部損傷する被害が発生しました。この時は通信サービスが停止することはありませんでしたが、復旧には当初1か月程度かかるとされていました。
このように、災害時には通信設備の被害によって、電話やインターネットが長期間利用できなくなる可能性があります。さらに、発災直後は安否確認や緊急連絡が短時間に集中するため、通信回線が混雑し、電話がつながりにくくなります。このような状態を「輻輳(ふくそう)」と呼びます。
特に音声通話は混雑の影響を受けやすく、何度もかけ直すことで、さらに通信障害が悪化する場合があります。
災害時における携帯電話・スマートフォン
携帯電話は、スマートフォンと基地局が電波を送受信することで通信を行っています。基地局や通信設備では、耐震・耐火・防水などの災害対策が進められており、停電時にも通信を維持できるよう、バッテリーや非常用電源が整備されています。
しかし、大規模災害では、基地局設備そのものが被害を受けたり、停電が長期化したりすることで、通信サービスに影響が発生する場合があります。通信事業者では、通信事業者では、移動基地局車や移動電源車などを活用し、できるだけ早い復旧に取り組んでいます。
また、固定電話と同様に災害直後は安否確認などの連絡が一斉に集中するため、音声通話がつながりにくくなることがあります。これは通信事業者が緊急通信を優先するため、一時的に通信制御を行う場合があります。
そのため、災害時の連絡手段としては、電話よりも、LINE・メール・SNS・災害用伝言板などのデータ通信を活用する方が、比較的つながりやすいとされています。さらに、携帯電話の電池切れに備え、モバイルバッテリーや予備の充電手段を準備しておくことも重要です。
携帯電話では、気象庁が発表する緊急地震速報や津波警報、自治体の避難情報などを通知する「緊急速報メール(エリアメール)」が配信されることがあります。この通知は、通常の通信回線とは異なる仕組みを利用しているため、通信が混雑している状況でも比較的受信しやすい特徴があります。
災害時の安否確認と通信手段
電話利用時の注意点
地震発生時の固定電話では、ごくまれに、受話器が外れた状態になっていることがあります。このままでは電話が通話状態となり、着信できなくなる場合があります。その結果、何度もかけ直す人が増え、通信の混雑を助長する可能性があります。また、安否確認の際には、公衆電話や災害用伝言サービスの利用が推奨されています。
被災地への電話はできるだけ控えめにする配慮も重要です。災害直後は電話が集中し、緊急通信や重要通信に影響を与える可能性があるためです。もし電話がつながった場合でも、通話はできるだけ短時間で済ませるよう心がけることが望まれます。
公衆電話と災害時無料化
2011年東日本大震災の時には、公衆電話が無料で利用できるようになる措置が取られました。災害時の無料通話措置が行われた場合でも、始めに硬貨やテレホンカードが必要な場合があります。
公衆無線LAN「00000JAPAN」
東日本大震災以降、災害時の通信手段確保の重要性が改めて認識され、公衆無線LANの活用が進められました。
大災害が発生した場合には、公衆無線LANが無料で開放されることがあります。スマートフォンなどをインターネットへ接続し、情報収集や連絡手段として利用できます。その際には、災害用の統一SSIDである「00000JAPAN(ファイブゼロ・ジャパン)」が使用されます。
※00000JAPANは誰でも利用できる公衆無線LANのため、個人情報や重要なパスワード入力などは控えるようにしましょう。
LINE・SNSによる安否確認
通話が難しい場合には、LINEやSNSなどの安否確認機能を活用することが有効です。
「無事です」や「避難しました」など決まった定型文を選択するだけで、相手に内容を送ることができるので、使用しているアプリに安否確認機能があるか確認しておくと便利です。
また、特定のアプリを利用していなくても使える安否確認方法があります。
災害用伝言ダイヤル(171)・web171
災害用伝言ダイヤル(171)は、被災地の人が音声で安否情報を録音し、家族や知人がその内容を再生して確認できるサービスです。
電話番号:171
語呂合わせ: 「忘れない(171)!イナイイナイ」
自分の安否を録音する
家族の安否メッセージを聞く
また、インターネットを利用した「災害用伝言板(web171)」では、安否情報を文字で登録・確認できます。さらに、携帯電話会社各社でも、災害用伝言板サービスが提供されています。
これらのサービスは、音声通話より通信効率の高いデータ通信を利用するため、通信が混雑している状況でも比較的利用しやすい特徴があります。
災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板は、毎月1日と15日、防災週間(8月30日〜9月5日)、正月三が日、防災とボランティア週間(1月15日〜21日)などに体験利用ができます。 災害時には、電話がつながらない場合も多いため、家族で事前に利用方法を確認しておくことが重要です。
※ 本ページは、日本防災士機構発行の『防災士教本(2025年度版)』を参考に、一般の方にも分かりやすく再構成したものです。
※ 掲載情報は細心の注意を払っておりますが、実際の災害時の判断や行動は、お住まいの地域や状況によって異なります。必ず内閣府や気象庁、自治体などの公的機関から発表される最新情報を優先してください。
※ 本ページの情報に基づいた行動によって生じた損害等について、当サイトは一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。