災害としての火災の特徴
火災は、地震や台風などの自然災害と比べると、大きく異なる特徴を持っています。
それは、人の行動と自然現象の両方が関係する「複合要素災害」であるという点です。
自然発火による林野火災や、地震に伴って発生する地震火災のように、自然現象に起因する火災もあります。
しかし、火災原因の多くは、日常生活や業務の中での人為的な行動(故意・過失)によって引き起こされています。
このため、火災は「発生させないための事前対策」が重視されてきました。
日本では、戦後に発生した多くの大規模火災の教訓を踏まえ、消防法を中心とした火災予防対策が整備されてきました。
近年では、林野火災への警戒強化も進められており、2026年1月からは林野火災警報・注意報の運用も始まっています。
日本で発生する火災の多くは建物火災ですが、林野火災は件数こそ少ないものの、ひとたび発生すると被害が広範囲に及びます。
住民避難やヘリコプターによる大規模な消火活動が必要になる場合もあります。
近年では、2025年2月に岩手県大船渡市で大規模な山林火災が発生しました。
焼失面積は約2900haに達し、激甚災害に指定されるなど、平成以降では日本最大規模の山林火災となりました。
地震火災
地震火災とは、地震によって発生する火災のことです。
地震直後は、倒壊した建物や断線、ガス漏れなどが同時多発的に発生し、通常の火災よりも被害が拡大しやすい特徴があります。
関東大震災や阪神・淡路大震災では、地震発生後に十分な消火活動が行えなかったことから、市街地を巻き込む大規模な火災が発生し、甚大な被害が生じました。
また、2016年12月の新潟県糸魚川市の大規模火災のように、強風の影響によって延焼が急速に拡大することもあります。
今後も、大規模地震の発生時には、同様の地震火災が起こる可能性があります。
被害を減らすためには、一人ひとりが火災の特徴を理解し、事前に備えておくことが大切です。
地震火災を防ぐ行動
地震火災を防ぐためには、まず「火を出さない」ことが重要です。
建物の耐震対策や家具の転倒防止、消火器の設置、感震ブレーカーの導入などが有効とされています。また、地震時に安全機能が働く暖房機器の使用や、Siセンサー付きコンロの利用、器具周辺の整理整頓も出火防止につながります。
地震直後には、電気コードや石油暖房機器に損傷がないか、灯油の漏れがないかを確認することが大切です。
避難する際には、可能であればブレーカーを落とし、自宅へ戻った際も、ガスや電気機器に異常がないことを確認してから使用することが大切です。
通電火災・電気火災
阪神・淡路大震災では、停電復旧後に多くの通電火災が発生しました。
東日本大震災でも、電気関係の出火が火災原因の多くを占めています。
また、電気火災は地震だけでなく、近年増加しているゲリラ豪雨や床上浸水などの水害時にも発生しています。
浸水した家電製品や配線設備は、乾いて見えていても内部に水分が残っている場合があり、通電再開時にショートして火災につながることがあります。 日常的に、使用していない電気製品のプラグを抜いておくことや、コンセント周辺のほこりを取り除くことも、有効な対策のひとつです
早期発見と初期消火
地震後に火災が発生しても、早期に発見し初期消火ができれば、被害の拡大を防ぐことができます。そのため、消火器の設置や住宅用火災警報器の導入が有効です。
また、近隣住民に火災の発生を知らせる「屋外警報装置」を設置することで、周囲への迅速な注意喚起や早期対応につながることも期待されています。
地域ぐるみの防災対策
大規模災害発生時には、消防や救急への要請が集中し、地域全体での対応が求められる状況になる可能性が高くなります。平時から、防災訓練やハザードマップの確認、避難経路の共有を行っておくことが大切です。
また、高齢者や体の不自由な人など、避難支援が必要な人を地域で把握し、声かけや避難支援の役割分担を決めておくことも重要です。
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地震が引き起こす建物・地盤・火災など、さまざまな被害をわかりやすく解説しています。
※ 本ページは、日本防災士機構発行の『防災士教本(2025年度版)』を参考に、一般の方にも分かりやすく再構成したものです。
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